夏バテ予防の特効薬 梅干し
夏バテ予防の特効薬 梅干し
先週は食中毒についてお話しいたしました。食中毒の予防に、一役買ってくれて、健康によい食材、夏バテ予防の特効薬、梅干についてお話しいたします。
食べ物には薬味、薬性があります。漢方では、酸苦甘辛鹹の五味を大切に考えます。酸味は肝臓を助け、夏汗をかきすぎる人は、梅干などの酸味をとることにより、開いた皮膚を閉めることができ、汗をかきすぎてしんどい思いをすることを抑えることができます。苦味の味は、夏の暑さによる体や血液の熱を冷まし、異常な出血を防ぎ、熱中症などの病気を予防します。甘い味は、夏疲れた胃腸を調えて、夏バテの予防に働いてくれます。お米の甘さが一番良い甘さで、白砂糖の甘さは行き過ぎになります。白砂糖の甘さが多いと、体をゆるめ過ぎてしまい、内臓下垂などを助長します。またオシッコが出にくくなり、浮腫の原因ともなります。「過ぎたるは及ばざるがごとし」何事もほどほどが大切です。辛い味は、夏冷たい飲み物により、お腹を冷やしたりする弊害を、香辛料や薬味により温めて、消化不良を助けてくれます。そうめんやざるそばを食べる時には、ワサビ、生姜、ネギ、紫蘇、ミョウガ、辛味の大根など薬味を入れて、胃腸を温めて消化不良や食欲不振を改善してくれます。最後に鹹味ですが、腎臓を助けてくれる味になります。味噌、貝類、わかめや昆布などの海草類は、暑い時ではありますが、皆さん果物や冷たい飲み物でお腹を冷やしています。一日1回から2回は、温かい味噌汁などで、鹹味の味を捕って頂き、汗によって失われがちなミネラル補給と浮腫の改善に役立ちます。
このように五味をバランスよく食べることにより、体をつくり、健康を保つことができます。ここからが本番ですが、酸味の代表ともいえる「梅干し」はどうでしょうか。梅の性質の酸味が、肝臓を助けて、ゆるみすぎの皮膚を引き締めてくれます。塩漬をすることで、鹹味の塩が「腎」を補い、夏汗によって失われがちなミネラル補給をして、浮腫の改善にも役立ちます。当然天然塩で漬けていますので、マグネシウムの苦汁成分も入りますので、苦い味で心臓や血液の熱を多少なりとも抑えてくれて心臓を守ります。辛味の紫蘇が「肺・大腸」を助けてくれて、夏の消化不良を改善して、便秘を防ぐ効果があります。これだけで四味を補います。そして梅干しだけで召しあがることはまずないでしょう。温かいご飯と一緒に召しあがりますので、お米の甘い味が入りますので、五味を全て食べることができ、梅干しとご飯だけで、五味のバランスが取れる事になります。当然その他のおかずもバランス良く召しあがって頂き、本当の健康食になるわけです。古来より「梅干しは、三毒を絶つ」と言われ、水分代謝障害、血行不良、消化不良を予防する効力があるとされるのも、酸味、鹹味、辛味、苦味による四味によるものとされています。
おにぎりやお弁当に梅干しを入れるのも、すぐれた殺菌力を利用して、ご飯が腐敗するのを防ぐために考え出された生活の知恵です。文献によりますと、250年以上もの昔の梅干しを食べた学者さんは、その殺菌力と防腐力の強さに驚かれたとあります。かつては「一日一個、梅干しを食べれば病気にならない」といわれ、どこの家庭にも梅干しが常備されていました。塩分の摂りすぎによる弊害が強調され、洋食がふだんの食卓にのぼるようになると、しだいに影をひそめてきましたが、今再び、効能豊かな梅干しを食べる習慣を取り戻したいものです。
最後に夏バテ予防の梅干しレシピをご紹介いたします。「イワシの梅煮」です。疲労回復と成人病予防に効果のある一品です。梅干しの疲労解消作用とイワシの体力増強効果があります。さらに両者が体内のコレステロールを除去し血液をサラサラに保つ効能をあらわします。
材料:イワシ8匹、梅干し2個、生姜(千切り)、酒と水と醤油で煮る家庭、酒の変わりにみりんを使う家庭、酢と水と砂糖で煮る家庭、ご家庭の味があると思いますが、下山家は酢を中心に水と醤油と黒砂糖です。骨まで柔らかく煮ることができます。最後に山椒を振りかけても良いと思います。夏バテ予防にお役立て下さい。