夏の養生法 食中毒予防と対策
夏の養生法 食中毒予防と対策
暑い日が続いておりますが、今の季節に多い食中毒についてお話しいたします。この高温多湿の気候は、食べ物も傷みやすく、胃腸の働きも弱りガチなので、食中毒の発生しやすい季節です。夏場はカンピロバクターという細菌により食中毒を起こす場合もよく見受けられます。特に鶏肉、牛肉など生肉は気をつけなければなりません。一昨年の生肉の問題以来、皆さん生肉を食すことはお控えになられていますが、ご年配の方も免疫力が落ちていますので、焼き加減にも気を付けて頂きたいと思います。また、同じ食事をしていても、免疫力がしっかりしている人は、発生しない場合もあります。最近、お子さんや若い人の食事を見て感じることですが、身近にできる食中毒の予防法として、食事の時冷たい飲み物を飲まないようにして下さい。胃液も薄まりますし、免疫力も落ちます。それが、ならなくてもよい消化不良や食中毒を起こす原因になります。食中毒の予防は、食物の腐敗や変質を防ぐことと、体の免疫力や胃腸の働きを高めることの二つを考えなければなりません。
食べ物の傷みを防ぐ方法は、干し物や塩漬け、砂糖漬けなどがよく知られています。生の食べ物の保存には、梅干し、食酢、笹の葉、ミョウガの葉が使われています。
昔、お魚を献上するのに、笹の葉を挽きお魚を乗せます。笹の葉は防腐剤代わりです。そしてわさび、芽蓼、大根、シソの葉を一緒に入れました。これらは、殺菌効果とお魚の毒を消し、消化薬としても必要なので一緒に献上したのです。それと南天の葉と実も添えました。南天も解毒剤と吐剤になります。もしこの魚で食中毒を起こしたら、ごめんなさい、南天の実と葉を咬んで吐いて下さい。と言う心使いなのです。忘れてはならないのは、お刺身を食べるとき、大根のつま、ワサビ、シソの葉、生姜、芽蓼、菊の花も全てお魚の毒を消しです。消化剤として食べなければならないものなのです。食中毒の予防にもなりますので、必ずお刺身に添えて食べて下さい。今の若い人は、居酒屋に行ってもこれらの薬味を食べない人が多くいらっしゃいます。その意味を知ったら食べて頂けると思います。
また漢方薬でも胃腸の働きを良くして、食中毒にも対処できる漢方薬もあります。香蘇散、補中益気湯や参苓白朮散、十全大補湯などがあります。又、現在元気なお腹を作り免疫力を上げるのに、エンテロコッカス・フェカリスFK―23菌という乳酸菌が注目されています。1包でヨーグルトに換算すると100~400リットルの菌数が取れるのです。ドラム缶1本分のヨーグルトを食べれませんし、お腹をこわしてしまいます。しかしながら、体質改善をするにはそれくらいの量がいるわけです。
それとお弁当作りの時に、ひと工夫して頂きたいことが、いくつかあります。火を通したものを入れるということは、皆さんご存じです。例えば鶏の唐揚げをする場合には、味を付ける付け汁にワサビを入れて下さい。ワサビは殺菌作用があり上に抜けるものです。つぅ~と鼻に抜けますから、揚げると辛い味は飛んでしまい美味しく安全に頂けます。後はプチトマトのへたなどは取って入れて下さい。蔕などの部分に細菌は多いので取り除いておきましょう。梅干しですが、日の丸弁当にしますと梅干しの周りだけにしか殺菌効果は有りません。ご飯を炊くときに梅干しを入れて頂いて、混ぜて下さい。そうしますとご飯全体を傷みにくくします。酢飯も同様に傷みにくいわけです。そうしたひと工夫が大切になります。
次ぎに不幸にして食中毒になった場合は、時には死に至ることもあるので、軽視は禁物です。重症化する前に早めに医療機関へ行くようにして下さい。なお、受診する際は、原因と思われる食品や嘔吐物等を、ビニール袋に入れて持参すると診断の際の重要な手がかりとなる場合があると思いますので、前もって受診する病院に電話をして指示を仰いで下さい。私も職業柄中国にも良く行きましたので、吐いたり大下痢をしたことは何度もあります。私は漢方薬で治しますが、漢方薬も良く効きます。葛根黄連黄芩湯、藿香正気散、黄連解毒湯など色々あります。症状に合わせて、その人の体質を考えて漢方薬は選びますので、専門家にご相談下さい。漢方薬のこのような薬は殺菌と解毒効果があり、それらが整って吐き気や下痢が止まります。ただ単なる下痢止めとは全く違います。根本治療と言うことになります。このようなとき普通の下痢止めの薬は、毒素を体外に出すことが出来ず深刻な症状を引き起こすことがあり、危険ですので必ず医療機関を受診して支持を仰ぎましょう。ご家庭では食中毒を起こし、下痢やおう吐を繰り返した身体は、水分が不足し、脱水症状を起こしやすい状態にあります。看病される方は水分補給と適当な塩分、糖分など の補給に気を配ってあげて下さい。スポーツドリンクなどを上手に活用するのも一つの方法です。
また、おう吐がある場合は、吐きやすい体位をとり、窒息しないよう気をつけてあげましょう。