秋の野菜 大根について
秋の野菜 大根について
秋の野菜「大根」の性質……
今週も引き続き秋の養生法についてお話しいたします。本日は秋の野菜についてお話しします。まずは晩秋から冬にかけてうまみが増し、最も美味しくなる大根についてです。漢方的な性質として、辛くて生で食べるとその性質は、寒、冷やす性質があります。煮て食べると平、冷やしもせず温めもしない中性の性質です。胃下垂、胃拡張などの胃が冷えやすい人は、生で食べない方がよいです。反対に胃に熱を持っていて、口内炎を起こしているような場合や、お酒をよく飲む方で胃に熱を持ちやすい人は生で食べる方がよいでしょう。しかし胃が冷えやすい人でも肉類のように体を温める作用の強いものと一緒に生の大根、大根おろしで食べるのはかまいません。
大根の力……
主な作用ですが、大根は胃を丈夫にして消化を促進して、咳を止め、痰を出やすくさせるほか、利尿作用もあります。大根が消化によいことは、でんぷんを分解するジアスターゼなどの消化酵素が豊富に含まれているからです。消化不良でお腹が張った感じがするときにも有効です。肺に熱があって咳が出るとき、痰が黄色もしくは青い痰が出るときには生でお召しがり下さい。小便が出にくい時にもよいです。中国では昔から糖尿病で口渇があるときおろし汁を飲む方法がよく行われています。その他、体内の毒素を分解するということが昔から言われています。刺身のつまとしても使われますが、これも魚毒を消す物ですから、是非召しあがって下さい。今の若い人は、残す方が多いので、将来の健康面に於いて心配です。
民間療法の大根!……
昔の民間療法に、消化不良、腹が張り、胃が痛むときは、大根をおろしておろし汁をコップ1杯絞り頂いておりました。大根と豚肉をよく煮込んで食べるのは、重病で肉が負担になるときの消化を助けて精力を増す料理方法です。昔は肺疾患による喀血には、大根と羊の肉を煮込んだ料理で手当をしておりました。口内炎の場合は、大根おろしを食事ごとに茶碗に半分弱食べると効果的です。
大根の現代医学の研究報告……
その他、現代医学の研究報告で、生大根の汁には、胆石形成を予防する効果があると報告されています。健康の為に、毎日おろし大根とちりめんじゃこ等をお召し上がりになることは、良いことなのですね。出来れば、それにお醤油でなく、レモンなどを少しかけるのが良いかもしれません。
おろし大根ですが、焼き魚のお焦げに含まれる発癌物質を解消する成分が含まれていて、焼サンマにおろし大根を添えるのは、魚毒を消す消化作用と、お焦げの発ガン性を抑える上手な組み合わせになっております。
大根の注意点!……
大根にはカルシウムの吸収を阻害するシュウ酸は含まれず、小魚などと煮物にすれば、カルシウムが吸収されやすく、骨粗鬆症の予防にも良いでしょう。それとおろし大根は、食べる直前におろすのがポイントになります。消化酵素のジアスターゼは、熱に弱く損失も早いからです。
それと一つ気をつけていただきたいのが、大根とミカンやパイナップルなどを一緒に食べると、甲状腺ホルモンのチロキシンの働きを高める物質を抑制し、甲状腺腫を誘発する恐れがあるので、この食べ合わせには気をつけて下さい。