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春の養生法 春に必要な苦味とは?

春の養生法 春に必要な苦味とは?

先週は春の養生法で肝臓を助ける酸味を摂りましょうとお話ししました。今週はもう一つ春に欠かせない味、苦味についてお話しいたします。春の恵のお話です。

「春苦味、夏は酢の物、秋は辛味、冬は脂(あぶら)と合点して食え」 

とは明治時代の医者であり薬剤師であり食養生の大家の石塚左玄先生のお言葉です。

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春は肝を補う酸味と同時に摂りたいのが、苦味の食材です。つくし 、ワラビ 、うど 、竹の子 、ふきのとう 、タラの芽 など苦味を持った山菜が旬を迎えます。これこそ春に欠かせない食材なのです。

日本人は古くから、春になると旬を迎えます苦味の食材を上手に利用して、春の陽気の上昇によるトラブルを未然に防いでいたのです。


体の熱を取り、心臓を守る「苦味」とはどのようなものか?

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苦い味は、心臓を守る味と言うことはお話ししてきました。苦味は、体の熱を取り冷やす作用があります。 陽気の上昇と共に生じる「肝臓」の高ぶりや、ほてり、めまい、のぼせ、不眠などを鎮めるのが、この季節に芽を出す、つくし、ワラビ、ウド、竹の子、ふきのとう、タラの芽などの山菜の苦味の食材なのです。日本食では経験的に、春苦味の食材を摂ることを勧めているのですが、欧米化した現在では、このような生活の知恵は忘れられているのは残念です。

また苦味には、物を降ろす作用があります。冬の間、冬眠をした動物も春目覚めると一番に苦味の食材を食べて、お腹に貯まった宿便、毒を出すのですが、人間も同様で、冬の間に貯めた腸内の毒素を苦味の食材を食べて出さなければなりません。ですから、春には苦味の食材は食べないといけないのです。



食べ物は決してカロリー計算だけで考えるのではなく、食物には薬味、薬性があり、それを考えて食事をしていた日本の伝統食を見直したいものです。同じように夏には体を冷やす涼性の食材を、清涼感のある酢の物にして食べ乾燥する秋には、カキや梨、葡萄などの旬の食材で肺を潤しネギ、生姜などの辛味の食材で体を温めて冬に備えました。

冬には鍋物を中心に脂分の多い食材を摂り、体を守り、来たるべき春の芽吹きに備えなさいと、その季節に応じて食べるべきものを教えてくれているのです。


日本古来から伝わる伝統料理に隠された秘密

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例えば、さわやかな春の訪れを感じさせてくれる伝統料理として、「たけのこの木の芽和え」「若竹煮」「うどとわかめの酢味噌和え」などがありますが、これらの伝統料理は、春に起こりやすい症状を防ぐ為の漢方の知恵が見事に生かされているのです。

竹の子やうどなどの苦味の食材には、陽気や血液の高ぶりを抑えて熱をさめる作用があります。ただし、苦味の食材は摂りすぎると体を冷やす食害があります。

特に冷え症 や 水分代謝の悪い人 、胃腸の弱い人 は取り方に注意しないといけません。これを防ぐ為に、苦味の食材には辛味の食材を合わせて使いバランスを取る必要があります。

これも前にお話しいたしましたが、苦味を摂りすぎると肺と大腸の働きが阻害する為に、肺と大腸を守る辛味の食材を添えて未然に防ぐ為なのです。なんだか難しいなぁとお思いにならなくても、皆さん自然としていることなのですよ。

竹の子には、香辛料である辛味の木の芽と合わせ、うどは同じく辛味のカラシで和えるのも苦味による冷やすという弊害を防ぐ為であり、理にかなった調理法と言えるのです。

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その他に例えば、肌寒さが残る中、春に先駆けて顔を出すふきのとうは、熱々の天ぷらがよく似合います。衣でおおって高温で揚げることで苦味が抑えられて食べやすくなり、体を冷やしすぎるのを防ぎます。苦味の害を取り除くのが辛味ですが、苦味を一人歩きさせないで反対に抑える方向に働く味は、鹹味(塩辛い味)です。

三者の力関係は1番強い:鹹味 、2番目に強い:苦味 、3番目が:辛味 という具合になります。苦味が働きすぎるのを抑えるには、鹹味を加えるとバランスが良くなるのです。その他にも、思わず顔をしかめるような苦味も、鹹味の醤油や味噌、塩と合わせることでぐっとマイルドになるわけです。



ふきのとうの味噌焼きは、苦味のふきのとうを、焼くことと鹹味の味噌と合わせることで、苦味による食害を防いでいます。山菜の天ぷらには、山椒塩が良く合いますが、山菜の苦味による冷えを山椒が補い、鹹味の塩を加えて苦味の食害を抑えたすばらしい組み合わせです。

苦味の竹の子と鹹味のわかめという「若竹煮」、苦味のうどと鹹味のわかめを酸味の酢と鹹味の味噌で和えた「うどとわかめの酢味噌和え」も同様に苦味の働きすぎを上手に抑えながら、陽気の高ぶりを鎮める春にふさわしい養生食と言えます。


本日はこれらの食材をお作り頂き、改めて、和食と日本人の知恵の素晴らしさを、春の訪れと共に感じて頂きたいと思います。


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